選挙コンサルティング会社へ業務を委託して報酬を払うと運動員買収になります

選挙コンサルティング業者の問題点

行政書士資格を持たないものが無資格で違法な選挙コンサルを実施する、いわゆる「選挙コンサルティング業者」は、2つの点で違法です。今回は無資格な違法選挙コンサル業者の問題点を整理します。

無資格選挙コンサルは行政書士法違反

立候補届出書類等

無資格者による違法な選挙コンサル業者は、立候補届出に関する書面作成や選挙公費負担(選挙公営)手続きに関する書面作成を代行しています。

これは、行政書士法に違反しています。なかには、書面作成を「支援している」だけだと強弁する業者もあるようです。しかし、立候補届出の事前手続に代理人として出席し、選挙管理委員会と協議しながら書面を修正することは「作成」に当たるため、行政書士法に違反します。

仮に、事務所内で候補者本人が書面を作成する際に「支援」するだけで、事前審査にも同行せず書面修正にタッチしないのであれば行政書士法に違反しませんが、それでは「コンサルティング」を依頼する意味は皆無です。意味のある「選挙コンサルティング」を受けるためには行政書士業務に立ち入る必要があり、これらの業務は行政書士しか実施できません。

したがって、「選挙コンサル」は行政書士資格を持たないものには不可能です。

プロフィール等

政治家のホームページ文面等の文書図画の監修も行政書士に依頼しましょう。行政書士でないものが報酬を得てコンサルティングするのも行政書士法違反です。

政治家のプロフィールや政策は、有権者が当該政治家を支援するか否かを決したり、投票先を選択する上で非常に大きな意味を持ちます。すなわち、当該政治家に関する「事実証明に関する書類」と評価できます。

このような「事実証明に関する書類」の作成は、行政書士法により行政書士の独占業務とされています。

したがって、ホームページ(公式サイト)や政策ビラに掲載するプロフィールや政策に関する文面の作成は行政書士の独占業務です。

公職選挙法違反

総務省ガイドラインより引用

【問】業者に、選挙運動用ウェブサイトや選挙運動用電子メールに掲載する文案を主体的に企画作成させ、その内容を候補者が確認した上で、ウェブサイトへの掲載や電子メール送信をさせる場合、報酬を支払うことは買収となるか。

【答】一般論としては、候補者が確認した上でウェブサイトへの掲載や電子メール送信が行われているものの、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行っており、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払は買収となるおそれが高いものと考えられる。

上記の通り、「選挙運動用ウェブサイトや選挙運動用電子メールに掲載する文案を主体的に企画作成」することは公職選挙法上の「選挙運動」に該当します。特定の選挙で特定の候補者に対して投票を呼びかけることは「選挙運動」だからです。

公職選挙法では、「選挙運動」は原則としてボランティアでなければいけません。つまり、選挙運動へ対価を支払ってはいかないのです(支払約束も違法です)。

・運動員買収に関する参考記事

したがって、行政書士資格を持たない違法選挙コンサルティング業者は、公職選挙法にも違反しているといえます。

選挙コンサルティングは、選挙法務と政治法務を専門とする特定行政書士選挙コンサルタントにご依頼ください。