本記事は2025年6月現在の法令に基づいて解説しております。
都議会議員選挙期間中は政治団体の「政治活動」が禁止されている
選挙期間中の政治活動の原則的禁止
選挙期間中(告示日から投票日まで)には、政党その他の政治団体による一定の政治活動(政談演説会、街頭演説、ポスター・ビラの掲示・頒布、政治活動用自動車・拡声機の使用等)は、原則として禁止されています(公職選挙法第201条の8)。
ただし、確認団体(一定の要件を満たし、選挙管理委員会の確認を受けた団体)に限り、法定の範囲・条件下でこれらの活動が認められます。
「政治活動」と「選挙運動」の違いについては、こちらの記事を参照してください。
禁止される具体的な活動
選挙期間中に政党や政治団体が原則として禁止される活動の例(公職選挙法201条の8)
- 政談演説会・街頭政談演説会の開催
- 政治活動用自動車(船舶)の使用
- 拡声機の使用
- ポスターの掲示
- 立札・看板類の掲示
- ビラ類の頒布
- 機関紙誌の頒布・掲示
- 連呼行為
- 公共の建物での文書図画の頒布
- 候補者の氏名や氏名類推事項の記載
これらの活動は、確認団体以外の政党・政治団体には禁止されています。
なお、個人の政治活動は原則として規制されませんが、選挙運動とみなされる場合や、特定の文書図画の掲示などには制限があります。
また、選挙運動自体も、選挙期間(告示日から投票日前日まで)以外では禁止されており、事前運動(選挙運動期間前)・事後運動(選挙運動期間後=投票日当日も含む)は違法となります(公職選挙法第129条)。
「確認団体」になると選挙運動期間中も政治活動ができる
「確認団体」とは?
「確認団体」制度は、公職選挙法に基づき、一定の要件を満たした政党その他の政治団体が、選挙期間中に本来禁止されている特定の政治活動を一定の範囲で行うことを認める制度です(公職選挙法第201条の8但書)。
都議選において、「3人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体で、選挙管理委員会の確認書の交付を受けたもの」が対象です。
(都道府県又は指定都市の議会の議員の選挙における政治活動の規制)政党その他の政治活動を行う団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催、ポスターの掲示、立札及び看板の類の掲示並びにビラの頒布並びに宣伝告知のための自動車及び拡声機の使用については、都道府県の議会の議員又は指定都市の議会の議員の一般選挙の行われる区域においてその選挙の期日の告示の日から選挙の当日までの間に限り、これをすることができない。
公職選挙法 第二百一条の八
ただし、選挙の行われる区域を通じて三人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体が、次の各号に掲げる政治活動につき、その選挙の期日の告示の日から選挙の期日の前日までの間、当該各号の規定によりする場合は、この限りでない。
「確認団体」になるための条件(要件)
- 東京都議会議員選挙において「3人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体」であること(公職選挙法第201条の8第1項但書)。
- 所属候補者とは、立候補届出書に記載された所属党派名が当該団体と一致する者。
- 選挙管理委員会に「政治団体確認申請書」を提出し、確認書の交付を受けること(公職選挙法第201条の8第2項)
「確認団体」の届出に必要な書類
- 所属候補者名簿
- 綱領、規約、役員名簿、最近の予算書
- 政治資金規正法第6条の届出書の写し
※国会に議席を有する政党は一部書類提出免除
「確認団体」が選挙運動期間にも行える政治活動
東京都議会議員選挙における確認団体は、選挙期間中(告示日から投票日前日まで)に限り、通常は禁止されている以下の政治活動を、一定の制限のもとで行うことが認められています。
実施可能な政治活動
- 政談演説会および街頭政談演説の開催
- ポスターの掲示
- 立札および看板の掲示
- ビラの頒布
- 宣伝告知(政治活動用自動車や拡声機の使用、機関紙誌の頒布・掲示など)
各活動の具体的範囲と制限
活動内容 | 制限内容(都議会議員選挙の場合) |
---|---|
政談演説会の開催 | 所属候補者1人につき4回まで開催可能 |
街頭政談演説 | 停止中の政治活動用自動車上およびその周辺で、午前8時から午後8時まで実施可能 |
政治活動用自動車の使用 | 1台まで(所属候補者が8人を超える場合、5人ごとに1台追加可能) |
拡声機の使用 | 政談演説会場、街頭政談演説場、政治活動用自動車上で使用可能 |
ポスターの掲示 | 選挙区ごとに100枚、所属候補者が1人増えるごとに50枚追加可能 |
立札・看板の掲示 | 政談演説会告知用は演説会ごとに5枚まで。演説会場内や自動車掲示用は無制限 |
ビラの頒布 | 届け出たもの2種類まで |
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